手軽なタンパク質源やおつまみ、料理のアクセントとして世界中で愛されているチーズ。
しかし、「健康診断でLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高めと指摘されてしまった」「チーズは脂質が多いから、もう食べるのを我慢しなければならないのか」と不安に感じる方は少なくありません。
チーズには豊富な栄養素が含まれる一方で、コレステロール値に影響を与える脂質も多く含まれています。
この記事では、チーズに含まれる脂質の種類や、コレステロールが気になる方向けの賢い選び方、ナチュラルチーズとプロセスチーズの違い、そしておすすめの低脂質チーズについて詳しく解説します。
コレステロールが気になる人はチーズを控えるべき?
結論から申し上げますと、「完全に禁止する必要はありませんが、種類を賢く選び、適量を守ること」が比較的重要です。
チーズなどの乳製品には、悪玉(LDL)コレステロールを上昇させる主な原因とされる「飽和脂肪酸(ほうわしぼうさん)」が多く含まれています。
そのため、何も気にせずに毎日大量にチーズを食べてしまうと、コレステロールの管理においてマイナスの影響を与える可能性があります。
しかし、チーズはタンパク質やカルシウムなどの重要な栄養素の宝庫でもあります。
「脂質が多いから一切食べない」と極端に排除するのではなく、「コレステロールの管理をサポートする健康的な食生活」の一部として、どのように取り入れるべきかを理解することが大切です。
チーズに含まれるコレステロールに関連する成分(深掘り)
チーズがコレステロール値に与える影響を理解するためには、チーズに含まれる栄養成分を詳しく知る必要があります。
1. 飽和脂肪酸(コレステロール上昇の主な要因)
悪玉コレステロール対策で最も意識すべきは、食品そのものに含まれるコレステロールの量ではなく、「飽和脂肪酸」の摂取量です。
チーズをはじめとする乳脂肪には、パルミチン酸やミリスチン酸といった飽和脂肪酸が豊富に含まれています。
これらは肝臓でのコレステロール合成を促進し、血液中のLDLコレステロールを増やす働きがあります。
2. 食事性コレステロール
チーズそのものにもコレステロールは含まれています。
100gあたりのコレステロール量は種類によって異なりますが、約50〜100mg程度です。
現在、食事からのコレステロール摂取量の上限値は撤廃されていますが、脂質異常症の重症化予防の観点からは、1日200mg未満に抑えることが推奨されています。
チーズを食べすぎると、この目安に近づきやすくなります。
3. 良質なタンパク質とカルシウム
チーズのメリットとして見逃せないのが、必須アミノ酸をバランスよく含むタンパク質と、吸収率の高いカルシウムです。
これらは筋肉や骨の健康を維持するために欠かせない成分です。
脂質を抑えつつ、これらの栄養素を享受できるようなチーズの選び方が求められます。
注意すべき成分や食べ方・組み合わせ
コレステロールが気になる方がチーズを食べる際、特に注意すべき食べ方や組み合わせがあります。
飽和脂肪酸の「重ね食い」に注意
チーズ単体だけでなく、一緒に食べる食品の脂質にも目を向ける必要があります。
- ピザやチーズバーガー:生地の脂質、肉の脂身(飽和脂肪酸)とチーズの脂質が合わさるため、1食で1日分の飽和脂肪酸上限を軽々と超えてしまうことがあります。
- パンにバターとチーズ:朝食でよく見られる組み合わせですが、バターもチーズも乳脂肪の塊です。オリーブオイルに切り替えるなどの工夫が必要です。
ワインとおつまみチーズの罠
アルコールを摂取すると食欲が増進し、ついチーズを食べ過ぎてしまいがちです。
また、チーズには塩分も多く含まれているため、塩分の過剰摂取は高血圧のリスクを高め、動脈硬化の進行を早める危険性があります。
夜遅くの晩酌で大量のチーズを食べる習慣は、健康管理の観点から見直すのが良い選択です。
ナチュラルチーズとプロセスチーズの違い
チーズは大きく「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」に分けられます。
それぞれの特徴を理解しておきましょう。
ナチュラルチーズ
牛や羊などの乳に乳酸菌や酵素(レンネット)を加えて凝固させ、水分を抜いて作られたものです。
乳酸菌が生きており、熟成とともに風味が変化します。
- 代表例:モッツァレラ、カッテージ、カマンベール、チェダー、ゴーダなど
- 特徴:原料の乳の脂肪分がダイレクトに反映されます。熟成期間が長いハードタイプのチーズ(チェダーやパルメザン)は水分が少なく、その分100gあたりの脂質や飽和脂肪酸が凝縮されて高くなります。
プロセスチーズ
ナチュラルチーズを細かく砕き、乳化剤を加えて加熱して溶かし、再び成形したものです。
加熱処理により乳酸菌は死滅しているため、保存性が高く、味が均一で長持ちします。
- 代表例:スライスチーズ、6Pチーズ、ベビーチーズなど
- 特徴:スーパーで手軽に買えるのが魅力です。最近では「脂肪分カット」や「コレステロールカット」を謳った商品も多く展開されており、コレステロールが気になる方にとって選びやすい選択肢が増えています。
コレステロールが気になる方のためのチーズの選び方
チーズを選ぶ際の最大のポイントは、「脂質(特に飽和脂肪酸)が少ない種類を選ぶこと」です。
おすすめの低脂質チーズ(カッテージ、モッツァレラなど)
熟成させない「フレッシュチーズ」の一部は水分が多く、脂質が比較的低く抑えられています。
- カッテージチーズ:脱脂粉乳や生乳から作られ、100gあたりの脂質は約4gと比較的ヘルシーです。サラダのトッピングに選びやすい候補で、コレステロールが気になる方に選びやすい候補できるチーズです。
- リコッタチーズ:チーズを作る過程で出るホエイ(乳清)から作られ、脂質が低めです。ほんのりとした甘みがあり、デザート代わりにもなります。
- モッツァレラチーズ:ピザなどでおなじみですが、100gあたりの脂質は約16gと、ハード系チーズに比べれば低めです。
控えたほうがよい高脂質チーズ
- クリームチーズ:生クリームを加えているため、100gあたりの脂質が約33gと比較的高く、コレステロール対策としては要注意です。ベーグルにたっぷりと塗る食べ方などは、日常的には避けるのが無難です。
- チェダーチーズ、パルメザン(粉チーズ):水分が少ないため成分が凝縮しており、脂質・塩分ともに高めです。粉チーズは料理の風味付け程度に留めましょう。
主要チーズの栄養成分比較表(100gあたり)
| チーズの種類 | カロリー (kcal) | 脂質 (g) | 飽和脂肪酸 (g) | コレステロール (mg) | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|---|
| カッテージチーズ | 105 | 4.5 | 2.8 | 12 | ★★★★★ |
| リコッタチーズ | 146 | 11.5 | 7.3 | 41 | ★★★★☆ |
| モッツァレラチーズ | 276 | 16.0 | 10.3 | 54 | ★★★☆☆ |
| プロセスチーズ | 339 | 26.0 | 16.0 | 78 | ★★☆☆☆ |
| カマンベールチーズ | 310 | 24.7 | 15.3 | 73 | ★★☆☆☆ |
| チェダーチーズ | 423 | 33.8 | 21.3 | 100 | ★☆☆☆☆ |
| クリームチーズ | 346 | 33.0 | 20.4 | 110 | ★☆☆☆☆ |
※文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より一般的な数値を参考。
1日の摂取目安量と頻度
コレステロールが気になる方がチーズを取り入れる場合、1日の目安量は「約20g」程度にとどめるのが良い選択です。
- プロセスチーズ(ベビーチーズや6Pチーズなど):1日1個
- スライスチーズ:1日1枚
- カッテージチーズ:大さじ2〜3杯程度
この程度の量であれば、1日の飽和脂肪酸摂取量に極端な悪影響を与えずに、食事の満足感や栄養を補うことができます。
毎日食べるよりも、週に数回のお楽しみとして取り入れるとより安心です。
チーズを控えるべきケース・人
以下のような方は、チーズの摂取について医師や管理栄養士に相談することをおすすめします。
- 家族性高コレステロール血症の方:遺伝的な要因でLDLコレステロール値が比較的高くなりやすい方は、厳密な飽和脂肪酸の制限が必要な場合があります。
- 厳密な脂質制限を指示されている方:膵炎や胆嚢疾患など、病気の治療のために脂質摂取量を厳しく制限されている場合は、低脂質のカッテージチーズであっても控えるべきケースがあります。
- 体重過多(肥満)が気になる方:チーズは脂質が多いためカロリーも高くなります。ダイエット中の方は食べる量に特に注意が必要です。
他の乳製品との比較
チーズ以外の乳製品と比較した場合の、飽和脂肪酸の多さを見てみましょう。
乳製品全体のバランスを把握する際の参考にしてください。
| 食品名 | 1食あたりの目安量 | 飽和脂肪酸の量 | コレステロール量 |
|---|---|---|---|
| チーズ(プロセス) | 1切れ(20g) | 約3.2g | 約15.6mg |
| 牛乳(普通牛乳) | コップ1杯(200ml) | 約4.8g | 約24.0mg |
| ヨーグルト(全脂無糖) | 1パック(100g) | 約1.9g | 約12.0mg |
| バター | 大さじ1(12g) | 約6.2g | 約25.2mg |
チーズは少量でも脂質が凝縮されていることがわかります。
1日のうちに「朝は牛乳を飲み、昼にチーズを食べ、夜はヨーグルトを食べる」と、乳製品だけで多量の飽和脂肪酸を摂取してしまうことになります。
1日の食事全体でのバランスを考える
コレステロールの管理において大切なのは、特定の食品を「食べる・食べない」のゼロヒャクで考えるのではなく、1日の食事全体のトータルバランスです。
もしランチでチーズがたっぷり乗ったドリアやピザを食べたなら、夕食は脂質の少ない白身魚や大豆製品を中心にし、乳製品は控えるといった調整が必要です。
また、コレステロールの吸収を穏やかにする働きがある水溶性食物繊維(海藻類、きのこ類、大麦、オーツ麦など)を積極的に一緒に食べることをおすすめします。
例えば、サラダにカッテージチーズを乗せ、ワカメやきのこを加えることで、バランスの良い一品になります。
日々の食事で「どのくらい飽和脂肪酸を摂っているか」を正確に把握するのは難しいものです。
コレステロール管理のサポートには、専用アプリを活用して食事記録をつけるのがおすすめです。
iOS専用アプリ「コレステAI」では、毎日の食事を記録するだけで、脂質や飽和脂肪酸の摂取量を可視化し、健康的な食生活をサポートします。
よくある質問(FAQ)
Q. コレステロール値が高い場合、どのチーズを選ぶべきですか?
A. 水分が多く脂質が少ない「カッテージチーズ」や「リコッタチーズ」が選びやすい候補です。スーパーで手軽に買えるものでは、「低脂肪」「脂肪分カット」と記載されたプロセスチーズを選ぶと良いでしょう。
Q. プロセスチーズとナチュラルチーズ、どちらがコレステロール対策に良いですか?
A. どちらが良いかは一概には言えず、「脂質の量」で判断する必要があります。ナチュラルチーズでもカッテージチーズなら脂質は低いですが、チェダーチーズなら高くなります。プロセスチーズは製品によって脂肪分が調整されているものがあるため、栄養成分表示の「脂質」「飽和脂肪酸」を確認して選ぶことが大切です。
Q. チーズは毎日食べてもよいですか?
A. 牛乳やヨーグルトなど、他の乳製品とのバランスを見ながら、適量(1日約20g程度:スライスチーズ1枚分)であれば毎日食べても取り入れやすい場合があります。ただし、すでにLDLコレステロール値が基準を大きく超えている場合は、食べる頻度を減らすなどの工夫が推奨されます。
Q. おつまみとしてチーズを食べるときの工夫はありますか?
A. お酒を飲むと満腹中枢が麻痺しやすくなるため、あらかじめ食べる分量をお皿に取り分けておくことが重要です。また、サラミやベーコンなどの脂っこい加工肉と一緒に食べるのは避け、トマトやきゅうりなどの野菜と一緒に食べることで、満腹感を得やすく、食物繊維も補えます。
Q. チーズを食べた後、コレステロールの吸収を抑える方法はありますか?
A. チーズと一緒に、あるいはその後の食事で水溶性食物繊維(海藻、きのこ、大豆製品、オーツ麦など)を意識して摂取するのが良い選択です。水溶性食物繊維は、腸内でコレステロールから作られる胆汁酸を吸着し、体外へ排出するのを助ける働きがあります。
まとめ
チーズは、豊富なタンパク質やカルシウムを含む魅力的な食品ですが、LDLコレステロール値に影響する要因となる「飽和脂肪酸」が多く含まれているのも事実です。
コレステロールが気になる方がチーズを楽しむためのポイントは以下の通りです。
- カッテージチーズや低脂肪タイプのチーズを選ぶ
- 食べる量は1日約20g(スライスチーズ1枚、ベビーチーズ1個程度)を目安にする
- 牛乳やヨーグルトなど、1日の他の乳製品の摂取量と調整する
- ピザやチーズバーガーなど、他の脂質との「重ね食い」を避ける
コレステロールを上手に管理するためには、チーズを完全に我慢するのではなく、賢く選んで食生活のアクセントとして楽しむことが大切です。
日々の摂取量を意識しながら、健康的な食卓にチーズを取り入れてみてください。
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免責事項・注意事項
本記事で提供される情報は、一般的な健康情報の提供を目的としており、医師による診断や治療を代替するものではありません。
コレステロール値の異常や体調に不安がある場合は、自己判断せず、必ず医療機関(内科や循環器内科など)を受診し、専門医のアドバイスに従ってください。また、現在治療中の方や服薬中の方は、食事や運動の変更について事前に担当医にご相談ください。




