「チーズを食べるとコレステロールは上がるの?」と、健康診断後に気になる方もいるでしょう。
結論から言うと、チーズを1回食べただけでLDLコレステロール値の変化が決まるわけではありません。ただし、チーズは種類や量によって飽和脂肪酸が多くなるため、LDLコレステロールが高い方は摂り方に注意が必要です。
日本動脈硬化学会は、LDLコレステロール値が高い人では、食事中のコレステロールとともに飽和脂肪酸を控える必要があると案内しています。チーズを一律に禁止するのではなく、栄養成分表示と食事全体の組み合わせで考えることが大切です。
この記事では、チーズとコレステロールの関係、種類ごとの違い、栄養成分表示で確認したい点を解説します。
コレステロールが気になる人はチーズを控えるべき?
チーズだけでコレステロール値が決まるわけではないため、一律に禁止するのではなく、種類・量・食事全体で考えます。
チーズなどの乳製品には、悪玉(LDL)コレステロールを上昇させる主な原因とされる「飽和脂肪酸(ほうわしぼうさん)」が多く含まれています。
そのため、何も気にせずに毎日大量にチーズを食べてしまうと、コレステロールの管理においてマイナスの影響を与える可能性があります。
しかし、チーズはタンパク質やカルシウムなどの重要な栄養素の宝庫でもあります。
「脂質が多いから一切食べない」と極端に排除するのではなく、「コレステロールの管理をサポートする健康的な食生活」の一部として、どのように取り入れるべきかを理解することが大切です。
チーズに含まれるコレステロールに関連する成分(深掘り)
チーズがコレステロール値に与える影響を理解するためには、チーズに含まれる栄養成分を詳しく知る必要があります。
1. 飽和脂肪酸(コレステロール上昇の主な要因)
悪玉コレステロール対策で最も意識すべきは、食品そのものに含まれるコレステロールの量ではなく、「飽和脂肪酸」の摂取量です。
チーズをはじめとする乳脂肪には飽和脂肪酸が含まれます。飽和脂肪酸の摂りすぎはLDLコレステロール値の上昇に関連するため、1つの食品だけでなく習慣的な食事全体で確認することが大切です。
2. 食事性コレステロール
チーズそのものにもコレステロールは含まれています。
100gあたりのコレステロール量は種類によって幅があります。文部科学省の食品成分データベースや商品の栄養成分表示で確認できます。
一般の人を対象とした一律のコレステロール上限量は設定されていません。一方、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、脂質異常症の重症化予防を目的とする場合は200mg/日未満に留めることが望ましいとされています。
コレステロールの制限が必要な方は、チーズだけでなく、同じ日に食べるほかの動物性食品も含めて考えます。
3. 良質なタンパク質とカルシウム
チーズのメリットとして見逃せないのが、必須アミノ酸をバランスよく含むタンパク質と、吸収率の高いカルシウムです。
これらは筋肉や骨の健康を維持するために欠かせない成分です。
脂質を抑えつつ、これらの栄養素を享受できるようなチーズの選び方が求められます。
注意すべき成分や食べ方・組み合わせ
コレステロールが気になる方がチーズを食べる際、特に注意すべき食べ方や組み合わせがあります。
飽和脂肪酸の「重ね食い」に注意
チーズ単体だけでなく、一緒に食べる食品の脂質にも目を向ける必要があります。
- ピザやチーズバーガー:生地の脂質、肉の脂身(飽和脂肪酸)とチーズの脂質が合わさるため、1食で1日分の飽和脂肪酸上限を軽々と超えてしまうことがあります。
- パンにバターとチーズ:朝食でよく見られる組み合わせですが、バターもチーズも乳脂肪の塊です。オリーブオイルに切り替えるなどの工夫が必要です。
ワインとおつまみチーズの罠
アルコールを摂取すると食欲が増進し、ついチーズを食べ過ぎてしまいがちです。
また、チーズには塩分も多く含まれているため、塩分の過剰摂取は高血圧のリスクを高め、動脈硬化の進行を早める危険性があります。
夜遅くの晩酌で大量のチーズを食べる習慣は、健康管理の観点から見直すのが良い選択です。
ナチュラルチーズとプロセスチーズの違い
チーズは大きく「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」に分けられます。
それぞれの特徴を理解しておきましょう。
ナチュラルチーズ
牛や羊などの乳に乳酸菌や酵素(レンネット)を加えて凝固させ、水分を抜いて作られたものです。
乳酸菌が生きており、熟成とともに風味が変化します。
- 代表例:モッツァレラ、カッテージ、カマンベール、チェダー、ゴーダなど
- 特徴:原料の乳の脂肪分がダイレクトに反映されます。熟成期間が長いハードタイプのチーズ(チェダーやパルメザン)は水分が少なく、その分100gあたりの脂質や飽和脂肪酸が凝縮されて高くなります。
プロセスチーズ
ナチュラルチーズを細かく砕き、乳化剤を加えて加熱して溶かし、再び成形したものです。
加熱処理により乳酸菌は死滅しているため、保存性が高く、味が均一で長持ちします。
- 代表例:スライスチーズ、6Pチーズ、ベビーチーズなど
- 特徴:スーパーで手軽に買えるのが魅力です。最近では「脂肪分カット」や「コレステロールカット」を謳った商品も多く展開されており、コレステロールが気になる方にとって選びやすい選択肢が増えています。
コレステロールが気になる方のためのチーズの選び方
チーズを選ぶ際の最大のポイントは、「脂質(特に飽和脂肪酸)が少ない種類を選ぶこと」です。
比較的脂質が少ないタイプを探す
熟成させない「フレッシュチーズ」の一部は水分が多く、脂質が比較的低く抑えられています。
- カッテージチーズ:食品成分表では、多くの熟成チーズより脂質が少ない種類です。商品による違いがあるため、1食分の表示も確認します。
- リコッタチーズ:原料や製法によって脂質量が異なります。「フレッシュチーズだから低脂質」と決めつけず、商品表示で比較します。
- モッツァレラチーズ:水分の多いタイプですが、商品や食べる量で脂質量は変わります。ピザなどでは生地や肉類の脂質も含めて考えます。
量を確認したいタイプ
- クリームチーズ:脂質の多い商品があるため、パンや菓子に使う量を含めて1食分を確認します。
- チェダーチーズ、パルメザン(粉チーズ):水分が少なく、100gあたりでは脂質などが多くなりやすいタイプです。少量でも使いやすいため、実際に使う量で比べます。
種類を比較するときの見方
| 確認する項目 | 見方 |
|---|---|
| 1食分 | 100g当たりだけでなく、実際に食べる個数・枚数・グラム数で比較する |
| 脂質・飽和脂肪酸 | 「ナチュラル」「プロセス」という分類名だけで判断せず、商品表示を見る |
| 組み合わせ | バター、加工肉、生クリームなど、同じ食事で重なる脂質も確認する |
| 食塩相当量 | 脂質だけでなく、食塩相当量も商品ごとに比較する |
文部科学省の食品成分データベースは標準的な成分値を100g当たりで示しています。市販品の値は異なるため、最終的には商品の栄養成分表示を確認してください。
量と頻度は栄養成分表示から考える
公的な食事摂取基準に、チーズを一律に「1日20gまで」とする基準はありません。また、食事摂取基準は習慣的な摂取量を扱うもので、1食や1皿の基準を示すものではありません。
量を考えるときは、次の3点を確認します。
- 商品に表示された1食分と、脂質・飽和脂肪酸の量
- 同じ日に食べる牛乳、ヨーグルト、肉類、バターなどとの重なり
- LDLコレステロール値や、医療機関から受けている食事指導
商品や食事内容で適した量は変わります。治療中の方や食事指導を受けている方は、自己判断で一律の量に合わせず、医師や管理栄養士の指示を優先してください。
チーズを控えるべきケース・人
以下のような方は、チーズの摂取について医師や管理栄養士に相談することをおすすめします。
- 家族性高コレステロール血症の方:遺伝的な要因でLDLコレステロール値が比較的高くなりやすい方は、厳密な飽和脂肪酸の制限が必要な場合があります。
- 厳密な脂質制限を指示されている方:膵炎や胆嚢疾患など、病気の治療のために脂質摂取量を厳しく制限されている場合は、低脂質のカッテージチーズであっても控えるべきケースがあります。
- 体重過多(肥満)が気になる方:チーズは脂質が多いためカロリーも高くなります。ダイエット中の方は食べる量に特に注意が必要です。
他の乳製品との比較
チーズ以外の乳製品と比較した場合の、飽和脂肪酸の多さを見てみましょう。
乳製品全体のバランスを把握する際の参考にしてください。
| 食品名 | 1食あたりの目安量 | 飽和脂肪酸の量 | コレステロール量 |
|---|---|---|---|
| チーズ(プロセス) | 1切れ(20g) | 約3.2g | 約15.6mg |
| 牛乳(普通牛乳) | コップ1杯(200ml) | 約4.8g | 約24.0mg |
| ヨーグルト(全脂無糖) | 1パック(100g) | 約1.9g | 約12.0mg |
| バター | 大さじ1(12g) | 約6.2g | 約25.2mg |
チーズは少量でも脂質が凝縮されていることがわかります。
1日のうちに「朝は牛乳を飲み、昼にチーズを食べ、夜はヨーグルトを食べる」と、乳製品だけで多量の飽和脂肪酸を摂取してしまうことになります。
1日の食事全体でのバランスを考える
コレステロールの管理において大切なのは、特定の食品を「食べる・食べない」のゼロヒャクで考えるのではなく、1日の食事全体のトータルバランスです。
もしランチでチーズがたっぷり乗ったドリアやピザを食べたなら、夕食は脂質の少ない白身魚や大豆製品を中心にし、乳製品は控えるといった調整が必要です。
また、コレステロールの吸収を穏やかにする働きがある水溶性食物繊維(海藻類、きのこ類、大麦、オーツ麦など)を積極的に一緒に食べることをおすすめします。
例えば、サラダにカッテージチーズを乗せ、ワカメやきのこを加えることで、バランスの良い一品になります。
日々の食事で「どのくらい飽和脂肪酸を摂っているか」を正確に把握するのは難しいものです。
チーズだけでなく食事全体を振り返りたい場合は、食事写真を記録して、飽和脂肪酸や食物繊維など5項目と次の一食のヒントを確認できます。
よくある質問(FAQ)
まとめ
チーズは、豊富なタンパク質やカルシウムを含む魅力的な食品ですが、LDLコレステロール値に影響する要因となる「飽和脂肪酸」が多く含まれているのも事実です。
コレステロールが気になる方がチーズを楽しむためのポイントは以下の通りです。
- カッテージチーズや低脂肪タイプのチーズを選ぶ
- 商品の1食分と脂質・飽和脂肪酸の表示を確認する
- 牛乳やヨーグルトなど、1日の他の乳製品の摂取量と調整する
- ピザやチーズバーガーなど、他の脂質との「重ね食い」を避ける
コレステロールを上手に管理するためには、チーズを完全に我慢するのではなく、賢く選んで食生活のアクセントとして楽しむことが大切です。
日々の摂取量を意識しながら、健康的な食卓にチーズを取り入れてみてください。




