この記事で分かること
- ✓脂質異常症とは何か、なぜ問題なのか
- ✓3つのタイプ(高LDL・高TG・低HDL)の違い
- ✓放置すると起こる怖い合併症のメカニズム
- ✓診断基準とリスク評価の方法
- ✓改善のステップと治療オプション
「脂質異常症」と診断されたけど、実感がない…。痛くもかゆくもないから放置していませんか?
実は、脂質異常症は「沈黙の病気」と呼ばれ、自覚症状がないまま動脈硬化が進行します。この記事では、脂質異常症の正体から放置した場合のリスク、そして改善方法まで徹底解説します。
脂質異常症とは
脂質異常症とは、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)が正常範囲を超えている状態です。以前は「高脂血症」と呼ばれていましたが、HDL(善玉)コレステロールが低い場合も含めて「脂質異常症」と呼ぶようになりました。
日本では成人の約3人に1人が脂質異常症に該当するとされ、非常に身近な生活習慣病です。しかし、自覚症状がほとんどないため、健康診断で指摘されるまで気づかない人がほとんどです。
3つのタイプ
脂質異常症は、どの脂質が異常値かによって3つのタイプに分類されます。
高LDLコレステロール血症
LDL(悪玉)が140mg/dL以上
動脈硬化の最大のリスク因子。最も重要視される。
高トリグリセリド血症
中性脂肪が150mg/dL以上
食事・アルコールで悪化しやすい。急性膵炎のリスクも。
低HDLコレステロール血症
HDL(善玉)が40mg/dL未満
運動不足・喫煙で悪化。動脈硬化の「掃除役」が不足。
これらは単独で起こることもあれば、複合的に起こることもあります。例えば、メタボリックシンドロームでは「高TG + 低HDL」のパターンが多く見られます。
放置するとどうなる?動脈硬化のメカニズム
脂質異常症を放置すると、血管の壁にコレステロールが蓄積し、動脈硬化が進行します。このプロセスは数年〜数十年かけてゆっくり進むため、気づいた時には手遅れということが少なくありません。
動脈硬化の進行ステップ
LDLが血管壁に入り込む
過剰なLDLが血管の内皮細胞の隙間から侵入し、血管壁の中に蓄積し始めます。
酸化LDLとなり炎症を引き起こす
LDLが酸化されると「酸化LDL」となり、血管に炎症を引き起こします。喫煙はこの酸化を促進します。
プラーク(粥腫)が形成される
マクロファージが酸化LDLを取り込み、「泡沫細胞」となって蓄積。これがプラークを形成し、血管が狭くなります。
プラークが破裂し血栓が形成
不安定なプラークが破裂すると血栓ができ、血管を完全に詰まらせます。これが心筋梗塞・脳梗塞の原因です。
脂質異常症が引き起こす重大な病気
- 心筋梗塞:心臓の冠動脈が詰まり、心筋が壊死。突然死の原因にも。
- 脳梗塞:脳の血管が詰まり、麻痺・言語障害・認知機能低下が残る。
- 狭心症:心臓の血管が狭くなり、運動時に胸痛が起こる。
- 閉塞性動脈硬化症(ASO):足の血管が詰まり、歩行困難・壊疽のリスク。
- 大動脈瘤:大動脈が膨らみ、破裂すると命に関わる。
⚠️ 重要:自覚症状がほとんどない
脂質異常症の最も恐ろしい点は、自覚症状がほとんどないこと。動脈硬化が進行しても、血管が70〜80%詰まるまで症状が出ないことも珍しくありません。「症状がないから大丈夫」という考えは非常に危険です。
診断基準とリスク評価
脂質異常症の診断は、空腹時の血液検査で行われます。以下が診断基準です。
| 項目 | 正常値 | 境界域 | 異常(診断基準) |
|---|---|---|---|
| LDLコレステロール | 〜119mg/dL | 120〜139mg/dL | 140mg/dL以上 |
| HDLコレステロール | 40mg/dL以上 | - | 40mg/dL未満 |
| 中性脂肪(TG) | 〜149mg/dL | - | 150mg/dL以上 |
| Non-HDL-C | 〜149mg/dL | 150〜169mg/dL | 170mg/dL以上 |
ただし、LDLの目標値は一律ではありません。他のリスク因子(糖尿病、高血圧、喫煙、心疾患の既往など)がある方は、より厳しい目標値が設定されます。
改善のステップと治療オプション
脂質異常症の治療は、まず生活習慣改善から始めます。
食事療法
飽和脂肪酸(肉の脂身、バター)を減らし、不飽和脂肪酸(青魚、オリーブオイル)を増やす。食物繊維(野菜、海藻、大豆)も重要。3ヶ月で10〜20%の改善が期待できます。
運動療法
有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳)を1日30分、週5回以上。HDLを増やし、中性脂肪を下げる効果があります。
禁煙・節酒
喫煙はHDLを下げ、LDLを酸化させる最悪の習慣。アルコールは中性脂肪を直接上げるため、控えめに。
薬物療法
生活習慣改善で効果不十分な場合、または心疾患リスクが高い場合は薬を使用。スタチン系薬剤がLDL低下に最も効果的です。
薬物療法の種類
| 薬の種類 | 主な効果 | 代表的な薬 |
|---|---|---|
| スタチン系 | LDLを30〜50%低下 | アトルバスタチン、ロスバスタチン |
| フィブラート系 | 中性脂肪を低下、HDLを上昇 | ベザフィブラート、フェノフィブラート |
| EPA製剤 | 中性脂肪を低下、抗炎症作用 | エパデール、ロトリガ |
| PCSK9阻害薬 | LDLを強力に低下(注射薬) | エボロクマブ、アリロクマブ |
よくある質問(FAQ)
Q. 脂質異常症は完治する?
A. 生活習慣が原因の場合、食事・運動改善で正常値まで戻すことは可能です。ただし、生活習慣が元に戻ればまた悪化するため、継続が重要。遺伝性(家族性高コレステロール血症)の場合は、薬の継続が必要なことが多いです。
Q. 健康診断で「要経過観察」と言われた。放置していい?
A. 放置はおすすめしません。「要経過観察」は境界域にあるということ。この段階で生活習慣を改善すれば、悪化を防げます。逆に放置すると、次の健康診断で「要精密検査」「要治療」になる可能性が高いです。
Q. 薬を飲み始めたら一生続けるの?
A. 必ずしもそうではありません。軽度の場合、生活習慣改善と併用して薬の量を減らしたり、中止できることもあります。ただし、自己判断での中止は危険。必ず医師と相談してください。
💡 ワンポイント
脂質異常症は「沈黙の病気」。症状がないからといって安心せず、健康診断の数値を正しく理解し、早めに対策を取ることが重要です。
まとめ
脂質異常症は自覚症状がないため放置しがちですが、動脈硬化 → 心筋梗塞・脳梗塞という最悪のシナリオを避けるためには、早期の対策が不可欠です。
ポイントをおさらいしましょう:
- 脂質異常症には3つのタイプ(高LDL、高TG、低HDL)がある
- 放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞・脳梗塞のリスクが高まる
- まずは食事改善・運動習慣・禁煙から始める
- 効果不十分なら薬物療法を検討
- 定期的な健康診断で数値をモニタリング
「今日の食事は脂質異常症に良いの?」と迷ったら、アプリ『コレステAIコーチ』で写真を撮るだけ。毎日の食事改善をAIがサポートします。




