「食事に気をつけているのに、なぜかLDLが高い…」
「痩せているのにコレステロールだけ異常値が出る…」
それはあなたの生活習慣が悪いからではなく、**「遺伝」**が原因かもしれません。
特に**家族性高コレステロール血症(FH)**という遺伝性の病気は、日本人の約300人に1人(20〜40万人以上)いるとされ、決して珍しい病気ではありません。この記事では、自分が遺伝的要因を持っているかどうかの見分け方と対策を解説します。
📚 関連記事: LDLの基本は「LDLコレステロールとは?完全ガイド」で解説しています。
コレステロールは遺伝で決まる?
コレステロール値は、「遺伝」と「生活習慣」の2つの要因で決まります。
遺伝的要因(約30〜50%)
肝臓でのコレステロール合成能力や、処理能力は生まれつき決まっています。「水を飲んでも太る人がいる」ように、「普通に食べてもコレステロールが高くなる人」がいます。
環境要因(約50〜70%)
食事(飽和脂肪酸の過剰摂取)、運動不足、肥満などが影響します。一般的な高コレステロール血症の多くは、遺伝的素因にこれらの環境要因が加わって発症します。
家族性高コレステロール血症(FH)とは
FHは、生まれつきLDLコレステロールを血液中から除去する「LDL受容体」などが働かない(または働きが弱い)遺伝性疾患です。
FHの2つのタイプ
| タイプ | LDL値の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ヘテロ接合体 | 180〜400mg/dL | 日本人に200〜500人に1人。 30〜50代で心筋梗塞のリスク高。 |
| ホモ接合体 | 400mg/dL以上 | 100万人に1人程度。 小児期から動脈硬化が進行。難病指定。 |
多くの「遺伝でコレステロールが高い」という方は、ヘテロ接合体のFHである可能性があります。
FHセルフチェック:見分ける3つのポイント
日本動脈硬化学会の診断基準を元にしたセルフチェックです。
📝 FHセルフチェック
以下の項目のうち、2つ以上当てはまる場合はFHの可能性が高いです。
1
未治療でのLDLコレステロールが180mg/dL以上
若い頃から高い場合や、食事療法をしても下がりにくい場合は特に怪しい。
2
腱黄色腫(けんおうしょくしゅ)がある
アキレス腱が太い(厚さ9mm以上)、または手の甲・肘・膝に黄色いしこりがある。
※アキレス腱をつまんでみて、幅が2cm近くある場合は要注意。
※アキレス腱をつまんでみて、幅が2cm近くある場合は要注意。
3
家族歴がある
両親・祖父母・兄弟・子供の中に、以下の方がいる。
・LDLコレステロールが高い
・男性55歳未満、女性65歳未満で狭心症・心筋梗塞を起こした
・LDLコレステロールが高い
・男性55歳未満、女性65歳未満で狭心症・心筋梗塞を起こした
遺伝だったらどうすればいい?
「遺伝なら努力しても無駄?」と悲観する必要はありません。適切な治療を行えば、動脈硬化のリスクを健康な人と同レベルまで下げることができます。
1. 早期発見・受診
FHは「体質」なので、放置すれば血管は確実に老化します。
できるだけ早く循環器内科や内科を受診し、「家族性高コレステロール血症の疑いがある」と相談してください。
2. 薬物療法(必須となることが多い)
FHの場合、食事や運動だけではLDLを十分(100mg/dL未満など)に下げることは困難です。
スタチン系の薬剤を中心に、必要に応じてエゼチミブやPCSK9阻害薬などを併用します。
💡 薬は「一生のパートナー」
「薬に頼りたくない」と思うかもしれませんが、FHの場合は体内のLDL処理機能が不足しているため、薬で補うのが正解です。「インスリンが出にくい人がインスリンを打つ」のと同じで、体質に合わせた必要なケアと考えましょう。
3. 健康的な生活習慣
薬を使うからといって生活習慣がどうでもいいわけではありません。
喫煙や高血圧、糖尿病が加わるとリスクが跳ね上がるため、禁煙、適度な運動、バランスの良い食事は引き続き重要です。
よくある質問(FAQ)
Q
子どもにも遺伝しますか?
ヘテロ接合体のFHの場合、50%の確率で子どもに遺伝します。子どももLDLが高い場合、早期(小学生〜)から食事療法や治療が必要になることもあります。「家族みんなでコレステロール対策」をすることが大切です。
Q
FHは完治しますか?
遺伝子の問題なので「完治」はしませんが、治療によって数値をコントロールできれば、心筋梗塞などの発症リスクを大幅に下げ、「健康寿命」を全うすることができます。
Q
どんな食事をすればいいですか?
基本は一般的な高コレステロール血症と同じです。飽和脂肪酸(肉の脂、バターなど)を控え、食物繊維と青魚を増やす食事が推奨されます。
まとめ
遺伝性コレステロール(FH)まとめ
- LDL高値の30〜50%は遺伝が関与
- LDL 180以上 + アキレス腱肥厚 + 家族歴でFH濃厚
- 30〜50代の心筋梗塞リスクが高いため早期発見がカギ
- 食事療法だけでなく、薬物療法が必須になることが多い
- 家族(子どもや兄弟)も検査を受けることを推奨
遺伝は変えられませんが、未来は変えられます。
「体質だから仕方ない」と諦めず、専門医と相談して正しい管理を行えば、健康な人と同じ生活を送ることができます。
専門家からのワンポイントアドバイス:健診結果を「無駄にしない」3ステップ
健康診断で「B判定以下(軽度異常〜)」が出た場合、多くの人が「まだ大丈夫」と放置してしまいます。しかし、数値の異常は血管からのSOSです。
🩺 次の健診までにやるべきロードマップ
- 1️⃣「LH比」を自分で計算する
LDL÷HDLの数値を算出し、「2.0以下」になっているか確認しましょう。もし超えていれば早期の対策が必要です。 - 2️⃣「隠れリスク」を見つける
肥満や喫煙習慣がなくても、ストレスや睡眠不足、運動不足がLDL上昇の引き金になっていることが多々あります。 - 3️⃣過去3年分のデータを並べる
単年の結果ではなく、右肩上がりになっていないかトレンド(推移)に注目してください。
📅 最終更新: 2026年01月 | 記事の内容は定期的に見直しています




